銀行のトップを何故『頭取』と呼ぶのか?

『頭取』とは銀行のトップを指す言葉で、一般企業の社長に相当する。

なぜ銀行では社長ではなく頭取と呼ばれるのだろうか。

頭取の語源は、雅楽で主に管楽器の主席演奏者を指す『音頭取り』にある。

やがて、能や歌舞伎で小鼓を担当する三人のうち中央に座る主席奏者も『頭取』と呼ばれるようになった。

そこから「音頭を取る人」「集団をまとめる頭」という意味になり、歌舞伎などの劇場で楽屋を取り仕切る人や、相撲興行で力士を取りまとめる人が『頭取』と呼ばれるようになった。

ちなみに、『筆頭取締役』を略して頭取と呼ぶようになったという説もある。

そういった芸能関係で使われていた言葉が、銀行で使われるようになった経緯は、1869年に明治政府によって銀行の前身である『為替会社』が設立された際に、出資者を取りまとめる代表を頭取と呼んだことが始まりとされている。

それが、1872年に『国立銀行条例』が制定され、その中で呼び方を頭取にしていたことから、『銀行のトップ=頭取』が定着するようになった。

ただし、すべての銀行で代表者が頭取を名乗っているわけではない。

三井住友銀行は、『頭取兼最高執行役員(代表取締役)』、東京三菱UFJ銀行は『頭取』、みずほ銀行は『取締役頭取(代表取締役)』、りそな銀行は『取締役兼代表執行役社長』だ。

信用金庫では『理事長』としているところが多く、信託銀行の多くは『社長』と呼ぶ。また、インターネット専業の銀行も『社長』だ。

なお、『銀行の銀行』と呼ばれる日本銀行のトップは頭取でも社長でもない。最近は出過ぎの感もあり、みなさんすっかりおなじみの、黒田『総裁』である。


富士山の『五合目』は、登山ルートの中間地点じゃない!

世界文化遺産に2013年に登録された、みなさまご存じ日本一の霊峰、富士山。

古くから信仰の対象として、また日本を代表する山として、国内外から多くの登山客を集めている。

富士山の五合目までは車でも行けるため、多くの売店が立ち並ぶ観光スポットになっている。

ところで、この『五合目』、何を基準に決めたのか、また『合』という単位の由来をご存知だろうか。

『〇合目』の標識は、登山者がどこまで登ってきたかを知るための目安となるものだ。

麓の一合目から始まって、山頂が十合目となっている。

ということは、五合目はちょうど登山する距離の半分まで到達したところか、と思いがちだがそうではない。

では、標高が半分の地点かというと、それも違う。

実は、『〇合目』の標識は、距離や標高を十等分して決めたのではなく、『登山の難易度』で決められている。

傾斜が緩やかで、登山者の体力も十分残っている麓では一合間の距離は長く、傾斜が急になり登山者の疲労も蓄積される山頂付近では短くなっている。

では、なぜ『合』という単位を使ったのか。

山道の単位を『合』で表したのは富士山が最初だと言われているが、由来には諸説ある。

山の形が米を盛ったときの形に似ているので、米の量を計る単位である合を使った、という説。

仏教用語で極めて長い時間を表す『劫』に由来する説。

昔は、富士山を登るときに行灯(あんどん)で足下を照らしたので、その油を一合使い果たすごとに区切った、という説もある。

ちなみに富士山には、『七合目』『八合目』の他に『新七合目』や『新八合目』『本八合目』などがある。

ルートによっては七合目や八合目に二回出くわすこともあるので注意が必要だ。